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ともこ鍼灸治療院ブログ|ツボと経絡の話

20年、身体と向き合ってわかってきたのは、
「気」の流れを整えることが、心身の回復にとても大切だということ。
ツボや経絡・東洋医学について私なりに解説します。

コリや疲れ、気持ちの落ち込みの背景には、
気の巡りが滞る「余分なエネルギー」が関わっている場合があります。
その滞りをやさしく整え、軽やかな状態へ導きます。

「気」は、生命活動や自然界の根幹にあり、古代中国の思想や医学では非常に重要な存在とされてきました。
気は体内を絶えず巡っており、この流れがスムーズであれば健康が保たれます。
気の流れが滞ったり、足りなくなったり、過剰になったりすると、不調や病気が現れると考えられています。

東洋医学の知見をベースに、臨床経験を通じて得た気づきを書いています。
あくまで一治療家の個人的見解であることをご理解いただければ幸いです。

ツボの取り扱いには注意が必要|現代人は気が詰まりやすい

2025/06/02

ツボを押すと気持ちいい?
実は、不定愁訴の原因になっていることもあるのです。

指がちょうどツボに入って「イタ気持ちいいマッサージ」は最高ですよね。
でもそれが、体を巡る気に悪影響を与える可能性があることはあまり知られていません。

ツボは、体内の「気」が巡る経絡と呼ばれるライン上に点在しています。
経絡は血管が血液を循環させるように、気を全身に巡らせる通り道です。

当院に初めて来られる方の多くは、体内に気が滞って膨らんだような状態になっています。
経絡の流れが塞がれることで、痛みやしびれ、コリなどの症状が現れるのです。

私が治療で重視しているのは、この「気の通り道」である経絡です。
経絡の気の過不足によって起こる症状はさまざまです。

たとえば腰痛の場合、ギックリ腰は気が不足した状態。
一方、コリが溜まって腰が痛む場合は、気が滞っている状態です。
前者には気を補う施術、後者には気を抜いて流す施術が必要です。
東洋医学では、こうした気の状態に応じた整体が基本となっています。

東洋医学における12本の経絡の位置を示す図

鍼灸・筋膜リリース・揉捻法・整体など、施術の手法はさまざまですが、
体を整えるうえで最も大切なのは「経絡」です。

施術では、筋肉や組織への働きかけと同時に、経絡の気の詰まりを解消します。
筋肉の動きが変化するのは、経絡に詰まった気の流れが改善されるからです。

上の図は、体を縦横に巡る12本の経絡を示しています。
経絡は、筋肉の間や骨のキワなどを通っています。解剖学のような「パーツごとの見方」とは異なる発想です。
経絡は体全体をつなぎ、そこを巡る「気」が各部位に影響を与えます。

痛みや動きの改善だけでなく、心の回復にもつながる「元気の治療」ができるのは東洋医学ならではですね。

東洋医学における衛気の巡りと防御機能を示す図

気の分類

  • 元気(げんき):生まれつき持っている生命力(腎に宿る)。
  • 宗気(そうき):呼吸と飲食から作られるエネルギー。
  • 営気(えいき):血と共に全身を栄養する。
  • 衛気(えき):体の表面を巡り、外敵から守る。

「気」にはこうした4種類があります。
私が施術で特に意識しているのは、体内を巡る経絡の気の流れと、体の周りにある(とされる)衛気です。
衛気の整体と経絡の調整は相乗効果があり、健やかな状態を目指すうえでとても重要だと考えています。
(あくまで私の臨床感覚ですが。)

東洋医学では「気」「血(けつ)」「津液(しんえき)」を「三宝(さんぽう)」と呼び、
これらがバランスよく保たれることで、心身の健康が維持されるとされています。しかし、ツボが効くということでグイグイ中へ押すのは「気」の滞りを作りますし、施術者の「気」をもらって更に滞りを作ります。東洋医学が、もっと正しく理解される日が来るといいな…と、いつも感じています。



東洋医学の「邪気」とは?|種類・症状・原因をわかりやすく解説

2025/06/04

「邪気がありますね」と普通に言えない
「邪気」って言葉から連想すること…やっぱりアレですか?
誤解されやすいこの言葉の本当の意味をご紹介します。

「邪気」と聞くと、どんなものを連想しますか?どこか不安を感じさせる響きがありますよね。しかし東洋医学でいう「邪気(じゃき)」とは自然界に存在する、体にとって害になるものの総称のことです。オカルト的要素で言われる「生き霊」は含まれていませんが混同されることがあります。

腰痛の原因になる筋肉群

体に不調をもたらす邪気の種類

  • 風邪(ふうじゃ):強い風・急な気温差による影響。風邪や首肩のこりの原因に。
  • 寒邪(かんじゃ):冷え・寒さで体を縮こませ、血流や気の巡りを妨げます。
  • 湿邪(しつじゃ):湿気が体に溜まり、むくみや重だるさ、関節の痛みの原因になります。
  • 暑邪・熱邪(しょじゃ・ねつじゃ):熱中症のような強い熱、のぼせや倦怠感などを引き起こします。
  • 燥邪(そうじゃ):乾燥によって肌や喉、腸に不調をきたします。秋に多く見られます。

これらはすべて、気候や環境の変化が体に悪く作用するという考えです。

つまり、自然現象を病気の原因と見るのが東洋医学の「邪気」です。

湿邪・寒邪などの外邪のイメージ

内側から気を損傷させる内邪(ないじゃ)もあります。
主に感情のストレスや生活習慣の乱れなどが原因となり、「気・血・津液(しんえき)」のバランスを崩します。

代表的な内邪の種類

  • 怒(ど):怒りやすさ・イライラが肝(かん)を傷つけ、気の上昇を招きます。
  • 喜(き):過度な興奮が心(しん)に影響し、精神の不安定や動悸につながります。
  • 思(し):考えすぎ・悩みすぎが脾(ひ)を弱らせ、食欲不振や胃腸トラブルに。
  • 憂(ゆう):憂うつ・悲しみが肺(はい)を弱め、呼吸の浅さや免疫力の低下に。
  • 悲(ひ):深い悲しみが続くことで、気の消耗や体力の低下を招きます。
  • 恐(きょう):恐れが腎(じん)を弱らせ、腰や足の力の低下、頻尿などの症状が出やすくなります。
  • 驚(きょう):驚き・ショックが心と腎を傷つけ、不眠や不安感を引き起こします。

「邪気」という言葉には、誤解されやすいイメージがつきまといます。
しかし東洋医学では、邪気とは**自然や心の変化によって体に現れる「不調のきっかけ」**です。
それを知ることで、今起きている体の不調にも納得がいくかもしれません。



「ツボをグイーッと」ちょっと待って|その“気の流れ”、大丈夫?

2025/06/08

東洋医学で重視されるのはツボよりも経絡
ツボは東洋医学のとっかかりです

「ツボ=押せば効く場所」と一般的に知られていますが、ツボは“点”、経絡は“流れ”です。ツボは経絡上のポイントでしかなく、本来はその「点」だけを見ても不十分なのです。経絡は、気血の流れそのものであり、体全体のバランスを診る上での「線」であり「流れ」、東洋医学の体の見立てです。

なぜ「ツボ=押せば効く場所」だと思われているの?

ツボという言葉は広く知られていますが、「押せば効く魔法のポイント」と思われがちです。実は、それにはいくつかの理由があります。

1. メディアと健康ブームの影響

テレビや雑誌、SNSなどで「●●に効くツボ!押すだけ簡単!」といった情報が繰り返し紹介されてきました。簡単でわかりやすい内容は広まりやすく、ツボ=セルフケアというイメージが定着しました。

2. ツボが“点”で紹介されているから

市販の「ツボ本」では点だけが描かれ、「ここを押せば効く」とされがちですが、本来は経絡という“流れ”の上にあるポイント。関係性が省略されがちです。

3. 指圧やリラクゼーションの影響

「気持ちいい場所=ツボ」「押されて痛い場所=効く場所」というイメージが広まり、誤解につながっています。

4. 経絡という考え方があまり知られていない

ツボは知られていても、「流れ」である経絡の存在はあまり知られていません。ツボは経絡の中の目印に過ぎず、「流れ」を整える視点が東洋医学本来の診方です。



まとめ:なぜ誤解が生まれたのか?

本来の意味 一般の理解
ツボ(経穴)は経絡の上のポイントであり、流れの中の1点にすぎない ツボ=その場所だけが効くスイッチ
経絡の流れを整えるための手がかり ツボを押せば症状がよくなる魔法のボタン
「点」ではなく「線」や「面」でからだを見る診方 「ここを押せば肩こりが楽になる」的な即効性のイメージ


経絡の流れを感じとる鍼灸施術のイメージ

東洋医学の治療法の一つに足のツボを使って頭痛を治すというものがあります。
「足の経絡が頭につながっているから足を使って頭痛を治す」――理屈としては成り立ちます。
でも、それだけで本当の治療になるとは、私は考えていません。

「足臨泣で片頭痛改善」というような報告は嘘ではないですが、それは“部分だけを切り取った現象”に過ぎません。
ツボの名前や場所だけで「効果がある」といってしまうのは実際の臨床から外れてしまい、「鍼灸は効かない」という結論に導かれることでもあります。



足のツボと経絡が表記されたイラスト

鍼灸は「気の流れ」にふれる医術です。
上記のイラストではツボの場所や名前に目がいきがちですが、私が実際の臨床で診ているのは、ツボとツボをつなぐ“流れ”=経絡の線です。
私は「どのツボが効くか」ではなく、「どこが今、流れにくくなっているのか」に着目して診ています。

経絡は、単にツボとツボをつないだ線ではなく流れや滞りを、実際にふれて感じとるもの。
そこに、その人の声にならない体のサインがあり、それを自然な流れに戻す。
体の設計図として経絡はとても大事なものなのです。
「ツボ」や「痛みの場所」だけにとらわれず、体の流れ全体を見ていく――そんな東洋医学の視点に、少しでも関心を持っていただけたら嬉しく思います。



東洋医学の経絡は体の外側も巡っています

2025/06/27

ツボとツボをつなぐ経絡のラインは
身体の外側を巡って一つにつながっています

 

東洋医学では、私たちの体に「気(き)」が流れる通り道を「経絡(けいらく)」と呼びます。このうち、全身をくまなく巡る主要な12本の通り道を「12経絡(じゅうにけいらく)」といいます。12経絡は、それぞれが臓器や器官とつながっていて、体のバランスや健康に深く関わっています。

十二経絡の名称と対応する臓腑

経絡名 対応する臓腑
手の太陰肺経(たいいんはいけい) 肺-呼吸や皮膚、免疫に関係
手の陽明大腸経(ようめいだいちょうけい) 大腸-便通や皮膚トラブルに関係
足の陽明胃経(ようめいいけい) 胃-胃腸の不調やむくみに関係
足の太陰脾経(たいいんひけい) 脾-消化吸収、血の生成に関係
手の少陰心経(しょういんしんけい) 心-精神や心臓の働きに関係
手の太陽小腸経(たいようしょうちょうけい) 小腸-消化吸収や首・肩の痛みなどに関係
足の太陽膀胱経(たいようぼうこうけい) 膀胱-背中や腰の痛み、排尿機能
足の少陰腎経(しょういんじんけい) 腎-冷え、泌尿器、生殖、骨、老化などに関係
手の厥陰心包経(けついんしんぽうけい) 心包-精神安定や血の巡りに関係
手の少陽三焦経(しょうようさんしょうけい) 三焦-水分代謝・ホルモンバランスに関係
足の少陽胆経(しょうようたんけい) 胆-決断力や頭痛、側頭部の不調に関係
足の厥陰肝経(けついんかんけい) 肝-イライラや月経トラブルに関係

経絡の役割

● 気血の運行
経絡は「気(き)」=生命エネルギーと、「血(けつ)」=栄養を全身に運び、臓腑や組織を滋養します。つまり「気」とは生命活動(体を動かす機能)のことです。

● 臓腑の機能調整
12経絡は対応する臓腑の働きを支えます。たとえば、肺経は呼吸器系を、肝経は感情や代謝、解毒機能を整えます。

● 病気のサイン
ツボに現れる痛みや硬さは、経絡を通じて臓腑の不調を映し出すもの。東洋医学では、こうした反応を病気の「兆し」としてとらえます。

● 治療への応用
鍼やお灸、筋膜リリースなどで経絡の状態を改善し、気血の流れを整えることで、体の不調を改善へ導きます。

体の背面にある主要な経絡とツボの位置を示した東洋医学の図

経絡は身体の内側だけでなく、皮膚の表面=体表も巡っています。
この体表の経絡の滞りを整えると体内の経絡の気の流れが整うこともわかっています。

ともこ鍼灸治療院では、内側のツボや経絡だけでなく、外側に現れる「体のサイン」も見逃さず、根本的なアプローチを行っています。
原因不明の「ちょっとした痛み」は誰にでもあるもの。
「この痛み、いったい何が原因なんだろう……?」そんな思いをされたことはありませんか?

実際、痛みの原因は医学的にもすべてが明らかになっているわけではありません。

西洋医学でわかっていること

以下のような痛みは、比較的原因が特定しやすいとされています。

  • ケガや炎症による痛み:切り傷や捻挫、虫歯などによって神経が刺激されて起こる痛み。
  • 神経の障害による痛み:坐骨神経痛や帯状疱疹後の神経痛など、神経そのものの障害による痛み。
  • 心因性の痛み:ストレスや不安が背景にあり、身体に異常がなくても実際に痛みを感じるケース。

このような痛みは、画像検査や血液検査などで原因が特定でき、医療機関での治療が有効です。

現代医学でも原因がはっきりしない痛み

一方で、以下のような痛みは原因の特定が難しいこともあります。

  • 慢性的な痛み:手術後や、長年続く腰痛など、原因が取り除かれていても痛みが残るケース。
  • 気圧や天気による痛み:「雨の日に古傷が痛む」といった、気候に影響される痛み。
  • 検査では異常がないのに痛い:病院で「異常なし」と言われたのに痛みが続くケース。

このように原因がはっきりしない痛みでも、「東洋医学の施術」によってスッと楽になることがあります。
実際に施術を受けた方の中には、痛みが一瞬で軽くなるという体験に驚きつつも、「あれ?痛くない…まあいいか」と、静かに受け止められる方が多いのです。
あまりに自然な変化のため、ご本人も「不思議だけど良くなったから大丈夫」と受け入れているご様子が印象的です。
思い込みや常識では説明できないような変化が起こることも、東洋医学の面白さかもしれませんね。



東洋医学が実は医学ではないわけ

2025/08/17

「東洋医学・西洋医学」と言いますが、
実は東洋医学は科学というより 哲学的なもの なんです。

当院で行っている鍼灸筋膜リリースやルート治療は、臨床に基づいた施術ですが、
東洋医学の理論そのものは、宇宙や自然と人の体をリンクさせて考える思想・哲学です。
哲学の祖とされるソクラテスやプラトンの考えとも、根っこは同じなのです。

そこで、プラトンのイデア論を簡単に紹介します。

イデアとは
感覚世界の背後にある、永遠不変の「本質」「原型」を指します。

例:「美しい花」そのものではなく「美そのもの」、
「正義の行為」ではなく「正義そのもの」。

私たちが見たり感じたりするものは、このイデアの「影」「投影」にすぎない、という考え方です。

東洋医学で大切にされる「感情と身体の関係」も、
このイデア論と似た視点で理解すると分かりやすくなります。

人間が自然に抱く感情である 七情(しちじょう) は、
過度になれば臓腑や気血の働きを乱し、不調の原因になるとされます。

🔥1. 怒(ど)

  • 感情:怒り、イライラ、抑えきれない憤り
  • 影響する臓腑:肝(かん)
  • 典型的な症状:頭痛、めまい、血圧上昇、顔の紅潮
  • 解説:怒りは「気」を上昇させる性質があり…

2. 喜(き)

  • 感情:喜び、興奮、過度な楽しみ
  • 影響する臓腑:心(しん)
  • 典型的な症状:不眠、動悸、精神不安定
  • 解説:適度な喜びは健康に良いが…

🤔3. 思(し)

  • 感情:思い悩み、考えすぎ、心配性
  • 影響する臓腑:脾(ひ)
  • 典型的な症状:食欲不振、胃もたれ、疲労感
  • 解説:思い悩みすぎると脾が弱まり…

🌫️4. 憂(ゆう)

  • 感情:憂うつ、気分の落ち込み
  • 影響する臓腑:肺(はい)
  • 典型的な症状:呼吸が浅い、免疫低下
  • 解説:憂うつは肺の働きを弱め…

💧5. 悲(ひ)

  • 感情:深い悲しみ、喪失感
  • 影響する臓腑:肺(はい)
  • 典型的な症状:気力低下、体力の消耗
  • 解説:悲しみは気を消耗させ…

😱6. 恐(きょう)

  • 感情:恐れ、不安
  • 影響する臓腑:腎(じん)
  • 典型的な症状:腰や足が抜ける、頻尿、耳鳴り
  • 解説:恐怖は腎を弱め…

7. 驚(きょう)

  • 感情:驚き、ショック
  • 影響する臓腑:心(しん)・腎(じん)
  • 典型的な症状:動悸、不眠、不安、放心
  • 解説:突発的な驚きやショックは心を乱し…

七情のまとめ

  • 七情は本来、人間が自然に抱く感情
  • 適度であれば気血を巡らせ健康を保つ
  • 過度・長期的になると臓腑を傷つけ、不調を招く

プラトン哲学と東洋医学の比較

プラトン哲学では、心の深層にある「普遍的原型=イデア」が、現象界に投影されると考えられています。 一方、東洋医学では「七情」という普遍的な感情が臓腑に影響を及ぼし、症状として現れるとされています。 これは現代でいう 意識とその投影の関係 に近いものといえます。

プラトン哲学 東洋医学
イデア界(普遍的原型)
心の深層にある「本質」「型」
七情(普遍的感情の原型)
怒・喜・思・憂・悲・恐・驚
現象界(投影された世界)
イデアが映し出された現実
臓腑や症状(投影)
感情が強すぎると肝・心・脾・肺・腎などに影響
ポイント
意識(心の深層)が実体(現実世界のかたち)に影響を与える
ポイント
感情(意識の働き)が実体(臓腑・身体)に影響を与える
※西洋は普遍的原型を重視、東洋は細やかに臓腑との関係を分析する違いがあります。
東洋医学と哲学を語るプラトン風イラスト

もっとも、こんな勝手な解釈をしていると、
鍼灸界の重鎮や哲学界の巨匠からお叱りを受けるかもしれませんね(笑)

でも、小難しく感じがちな東洋医学も、
こうした視点から読み解くと、ぐっと身近で面白くなるのではないでしょうか。
皆さんの健康づくりに少しでも役立てば嬉しいです。



東洋医学で四毒抜きを解説します

2025/10/15

話題の四毒を摂り続けると、東洋医学では
食毒・気毒・血毒・水毒になりますよ

四毒抜きという健康法があります。小麦粉・植物油脂・砂糖・乳製品を摂らないというものです。

四毒は、身体の不調の原因となる 「慢性炎症」「腸内環境悪化」「ホルモンバランスの乱れ」 に関わる要因を、食の視点から整理した現代的な概念です。

このあいだ四毒抜きをしていた友達に3ヶ月ぶりに会ったら、顔も体も、なんだか性格も良くなっていました。
なので「四毒抜きって効果あるんだぁ」と思いました。
私も日頃これらの食品はなるべく多く摂らないように気をつけていますが、完全に止めることはできません。
なぜなら大倉山には、美味しいパン屋さんやケーキ屋さんがあるんです。皆さんにもお勧めしたいですが、健康上は不向きかもしれません。しかし美味しいものを提供しようという作り手の熱意のこもった商品には、単純に四毒という枠で割り切れないエネルギーが入っているので、たまになら大丈夫だと思います。

現代の“四毒”と主な食品・体への影響
四毒 含まれる主な食品 体に起こる反応
小麦粉(グルテン) パン・パスタ・うどん 腸壁への刺激、リーキーガット、むくみ・疲労感
植物油脂(精製油・トランス脂肪酸) マーガリン・ドレッシング・スナック菓子 細胞膜の炎症、ホルモン乱れ、冷え・肌荒れ
砂糖(特に白砂糖) スイーツ・清涼飲料・調味料 血糖急上昇、腸内悪玉菌増殖、老化促進
乳製品(カゼイン・乳糖) 牛乳・チーズ・ヨーグルト 消化不良、鼻炎・肌荒れ・PMS悪化

🌿 これらは一時的な刺激ではなく、じわじわ体の炎症を増やす“静かな毒”なんですね。

💡 四毒を抜くと何が変わるか

この食習慣をやめて1〜3週間ほど経つと、多くの人が以下のような変化を感じます:

  • 顔のむくみが消える(フェイスラインが出る)
  • お腹のハリが減り、腸が静かになる
  • 頭がスッキリして思考が軽くなる
  • 肌のくすみが抜ける
  • 朝起きた時のだるさが減る

✨ つまり、体が静かになり、エネルギーの通りがよくなる感覚。
これは東洋医学でいう「邪気が抜け、正気が巡る」に近い状態です。

東洋医学の基礎となっている原典にも「毒」という言葉は多く登場します。
ただし、古典に「四毒」という同名の用語が直接あるわけではありません。
現代的に整理すると、東洋医学的な四毒は以下のように考えられます。

🌿 東洋医学の四毒とは

  • 食毒:過食・加工食品・脂質の摂りすぎ
  • 気毒:ストレス・怒り・不安などの感情毒
  • 血毒:血の滞り・老廃物の蓄積
  • 水毒:むくみ・冷え・余分な水分停滞

🌿 四毒を深く知る

🥐 食毒(過食・加工食品・脂質の摂りすぎ)

東洋医学: 脾胃の弱り・湿熱(だるさ、舌苔ベタつき)

代謝・炎症の観点から: 酸化油や添加物、過剰な糖質は腸粘膜と肝機能に負担をかけ、慢性的な炎症を引き起こします。

  • 朝のむくみや食後の強い眠気
  • 肌のテカリ・吹き出物・便のにおい
  • だるさや集中力低下

🍵 改善法:加工食品を減らし、良質な脂質(亜麻仁油・えごま油・青魚)を少量摂ること。

💨 気毒(ストレス・怒り・不安などの感情毒)

東洋医学: 肝気鬱結(気滞)=気の巡りが滞る状態。胸のつかえ、ため息、首肩こり。

代謝・炎症の観点から: ストレスによるコルチゾール過剰は血糖乱高下と自律神経の乱れを引き起こします。

  • 呼吸が浅い・ため息が増える
  • 胃の不快感・暴食や食欲不振
  • 寝つきの悪さ・朝の緊張感

🌿 改善法:深呼吸やストレッチ、GABAやマグネシウムを含む食品(トマト・ナッツ類)を取り入れる。

🩸 血毒(血の滞り・老廃物の蓄積)

東洋医学: 瘀血(おけつ)=血の巡りが滞る。冷え・シミ・頭痛・月経痛の原因に。

代謝・炎症の観点から: 酸化ストレス・鉄代謝の乱れ・血管内皮の炎症などが関与します。

  • 肩こり・腰痛・生理痛が強い
  • 顔色がくすむ・目の下のクマ
  • 手足の冷え・末端のしびれ

🔥 改善法:しょうが・黒酢・シナモン・玉ねぎなどの“巡り食材”を毎食に少しずつ。

💧 水毒(むくみ・冷え・余分な水分停滞)

東洋医学: 痰湿・陽虚=体が冷え、代謝水分が滞る状態。

代謝・炎症の観点から: 塩分・糖分過多や低体温により、リンパや腎機能が低下して排出力が弱まります。

  • 朝の顔むくみ・頭重感
  • 気圧で不調・体が重い
  • 下半身の冷えや倦怠感

🌸 改善法:白湯・はと麦茶・常温のトマトジュースで内側から温めながら排出を促す。

🌸 鍼灸は「四毒抜き」を助けるもうひとつの方法

四毒抜きは食や生活の中で「内から整える」デトックス法ですが、
鍼灸はその流れを外から整えるアプローチです。

鍼やお灸によって滞った「気・血・水」の巡りを促し、
自律神経や内臓の働きを整えることで、
代謝や排出力が高まり、四毒が抜けやすい体質へと導きます。

食事だけでなく、体の外側からも流れを整えることで、
「外から流す+内から巡らせる」デトックスの循環が完成します。
継続することで、体の重さや肌のくすみだけでなく、
心の詰まりまで軽くなる方も多くいらっしゃいます。

🌿 食・呼吸・心・体——そのすべてが整うと、
本来のめぐりと再生のリズムが自然に戻ります。
鍼灸は、その回復のスイッチをそっと押すお手伝いをします。


四毒抜きのイメージ(食・気・血・水の滞りが流れる様子)

お待ちかね現象・先取り現象|心身一如について解説

2025/10/18

予約日が近づくと症状が強くなる!?
予約したら症状が消える!?

意識がもたらす現象なのか、ルート治療家の間で言われている不思議な現象があります。
それが「お待ちかね現象」というもの。
治療の予約日が近づくにつれ、「また痛みがぶり返してきた」「急に重だるい」と感じることがあります。

これは、身体が“整う準備”を始めているサインで、滞っていた気(エネルギー)が動き出す前触れと考えます。
また心理学的には、「もうすぐ治療で楽になる」という安心感が意識に浮かぶことで、今の不調がより強く意識されるという側面もあります。

一方、私が広尾で鍼灸整体院をしていた時によく経験していたのは「先取り現象」とも言えること。
「予約をした後に症状は治った」「今は大丈夫なんですけど」と来院された方から言われていました。

これは、治療を受ける前に意識が未来の“快”を先取りした状態。
予約が取れたから、心が安心し、「もう大丈夫」と思えた瞬間に、身体も緩み、気血の流れが変化します。

この二つの現象は、予約を入れるタイミングも関係しているかもしれません。
少し先に予約を入れていると「お待ちかね現象」が、
「ピンチ、助けて」と思った時に予約をされると「先取り現象」が起こることがあります。

また私の施術で「楽になった経験」がある方は、心理的に「先取り現象」が起こりやすいと思われます。

どちらも、身体の“治りたい”という思い“治る力”が内側から動き始めている証拠です。
人の身体は、思考や感情によって自ら整おうとする智慧(自然治癒力)を持っています。


心理と身体のつながり(心身一如)

東洋医学の基本にあるのが「心身一如(しんしんいちにょ)」という考え方です。
これは、心と身体は別々のものではなく、一つの生命現象として影響し合っているという意味です。

つまり、心の状態が身体に表れ身体の変化が心にも作用するということです。
不安・緊張・安心・喜びといった感情は呼吸や筋肉、血流、自律神経の働きに関わり、
体のこわばりや痛み、胃腸の不調、眠りの質、気分の軽さなどに反映されます。


心理学・脳科学の視点:心が体を変える

現代医学でも、心と体のつながりは明らかになっています。
心の状態は脳を通じて、自律神経・ホルモン・免疫に影響します。

ストレス
→ 交感神経が優位に → 筋緊張・血管収縮・免疫低下
安心感・幸福感
→ 副交感神経が優位に → 筋弛緩・血流改善・内臓機能回復

たとえば、悩み事があると肩や首がこり、胸が重くなるのは、
脳が「危険」信号を出し続けて交感神経を働かせているからです。
反対に、「安心した」「信頼できる」と感じた瞬間、体がふっと緩む。
これは副交感神経が働き、血流が回復している証拠です。


鍼灸で起こる“心身一如”の体験

鍼灸では、身体のツボ(経穴)を通じて気の流れを整えることで、
身体の不調だけでなく、心の滞りにも作用します。

  • 胸のつかえが取れると、不思議と気持ちが前向きになる
  • 肩のコリが取れた瞬間、涙が出る
  • 頭の重さが取れると、思考がスッキリする

これは単に筋肉や血流の変化だけでなく、
身体を通して心が解放される瞬間でもあります。
まさに「心身一如」の実体験です。

🌕まとめ:心が整えば身体も整う、身体が整えば心も整う

心と身体は、まるで表裏一体の鏡のような関係にあります。
どちらかが乱れればもう一方にも影響し、
どちらかが整えばもう一方も自然と整っていくのです。
それが、自然治癒力=「治る力」が働くということ。
私は、その力を引き出す治療という仕事が大好きです。


お待ちかね現象と先取り現象を説明するイラスト。左は治療前に症状が強く出る様子、右は予約後に安心して穏やかに微笑む様子を表現。

経絡が知られていなさすぎる件について解説します

2025/11/16

体を動かすのは筋肉だけじゃない
経絡という“すきま”のネットワークがある

以前お客さんで来てたお医者さんに「ツボってホントにあるの?」と聞かれたことがあります。
韓国ドラマで親指のツボから血を出すと胃痛が治るというシーンを見て不思議に思ったそうです。
西洋医学にはツボや経絡という概念はありません。ですが、「胃痛は胃薬で治す」という前提が常識になっていることの方が、実はちょっと怖いと思いませんか?

私が鍼灸で胃の調子が悪い方を治療するときは、胃の周りに滞った気を抜きます。
臓腑の周りの潤滑は、実際の臓腑の働きと強く関係していると感じています。

もし逆流性食道炎なら「猫背」を治す。首や肩の可動域を広げる。
体の不調は、体そのものに原因があります。

私が臨床を通して気づいた「経絡」は、
教科書に描かれている線や図のことではなく、
筋肉・神経・血管・臓器の“あいだ”にあるすきま(滑走の層)のことです。

筋肉というのは、すきまがないと動けません。
そのわずかな空間に血液が流れ、神経が信号を伝え、リンパがめぐります。
その「すきま」があるからこそ、体の柔軟性、温かさ、そして感情まで循環できます。

この「すきま」では、体のさまざまな伝達が同時に起きています。
神経の伝達、血流・体液の流れ、筋膜の張力の変化などです。
これらがスムーズだと、体は自然に動きやすくなります。

東洋医学では、こうした一連の伝達の総体を「気の流れ」と呼んでいます。
気は、神経や血流のような個別の反応ではなく、体内で起きている連動の“全体像”です。
すきまが滑らかに働くほど、気の流れも整います。

すきまが固まると、この連動がうまくいかず、筋肉が動きにくくなったり、臓器の働きが低下したりします。
鍼をすると、このすきまがふっと開き、滞っていた伝達が戻る瞬間があります。
私はこれを東洋医学でいう「経絡が通る」現象として捉えています。

ここで誤解してほしくないのは、筋肉がゆるんだから経絡が通るのではないということ。
経絡の滞りがあるから筋肉が硬くなるのであって、原因は筋肉そのものではありません。
体の“あいだ”の流れが回復することこそが大事なのです。

経絡は神経でも血管でもなく、“働き”を表す道です。
古代の医師たちは脈診や体の変化を通して、この見えない流れを感知していました。
経絡の理論は、体を“生きている全体”としてとらえる視点に立っています。

経絡がなぜ見落とされがちなのか?

ルビンの壺という錯視図をご存じでしょうか。
白い部分を見れば壺に見え、黒い部分を見れば2人の横顔が向かい合って見える有名な図です。
一度に両方を見ることはできず、意識をどちらに向けるかで見え方が変わります。

ルビンの壺の図

私にとって、解剖と経絡の関係はこのルビンの壺にとても似ています。
解剖を中心に見ると「形の世界」が浮かび上がり、
経絡に意識を向けると「流れの世界」が見えてきます。
どちらも正しいけれど、同時には見えません。

現代医学は「構造」に焦点を当てて発展してきました。
ですが、体を動かすには構造だけでなく、それを“生かす流れ”が必要です。
その流れこそ経絡であり、筋肉や臓器が滑らかに動くための働きの道です。

経絡を理解するということは、体を「物質」としてだけでなく、
連動・滑走・エネルギーが一体となった動的システムとして見ること。
壺と顔、どちらの見方もできるようになると、治療の深さがまったく変わります。

見えないものを見る「もうひとつの目」

私たちが目で見ているのは筋肉や血管などの“形”の部分だけです。
でも実際の治療では、その「間」で何が起きているかが重要です。
微細な動き、温度、流れ——それらを感じ取る感覚こそ、経絡を診る目です。

ルビンの壺は、どちらの世界も存在していることを教えてくれます。
形の医学と流れの医学、どちらか片方ではなく両方を見ること。
そこに、これからの医療の進化があると私は感じています。

生きた体にしか見えないものがある

現代医学は、体を「臨床のもの」ではなく、実験室のものとして扱うようになりました。
解剖学は止まった体(死体)を基準に作られ、実験データも条件が固定された状態で測定されます。
ですが、筋肉のすきまの動きや、経絡の流れのような現象は、生きた体でしか観察できません。

経絡は、構造として“ある”のではなく、
生きている体の中で起きている連動・滑走・反応のまとまりです。
それは、臨床で触れて、診て、反応を見る中でしか見えてこない世界です。

形の医学と、流れの医学。
どちらも本来は同じ体の中にあるもの。
あとは、私たちがその“もうひとつの見え方”を思い出せるかどうかだけ。
生きた体を診る臨床の中にこそ、体の本当の姿があると私は感じています。




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